毎日新聞 奈良版 センバツ特集 選手紹介より  3/12

・青山大紀投手

昨夏の甲子園では、エースとしてベスト8進出の原動力となった。
昨秋の近畿大会後からは、体重移動や下半身の使い方を重点的に強化。
球の切れが増し、最速148㌔を出すようになった。
 高校野球を経験した父親から「投打のバランスが良くなり、けがが少なくなる」とのアドバイスを受け、右投げで左打ち。
投手の目標は速球だけでなく変化球もこなせる大リーグ入りしたダルビッシュだ。
 甲子園では本塁打も狙う。 理由は『優勝するため、投球だけでなく打撃も見てほしい』。投打ともに活躍し、そこ先に見える優勝旗を手にするつもりだ。 【山崎一輝】
・中道勝士捕手

「お前のリードが勝負を左右する」。
初優勝を果たした昨秋の近畿大会。
決勝の天理戦を前に、ロッカールームで言われた小坂将商監督の言葉を心に刻む。 主将で捕手、1番打者。チーム、守備、攻撃の全てでりード役だ。
「いいね」「さあ当ててこい」。底冷えする練習場でミットが鳴るたび声が響く。
負けん気の強い個性派ぞろいだが、「そんな自分たちを一つに束ねている」とナインの信頼はあつい。
 昨夏の甲子園は2年生ながら4番を任された。 「あの頃は先輩がいて失敗しても言い訳できた。もう逃げはしない」。一回り成長した自信を胸に大舞台に挑む。 【山崎一輝】

・小池将大一塁手

 昨年4月、練習中に右肩を脱臼した。夏の奈良大会は間近。悩んだが、父道朗さんに「プラスになるよう考えなさい」と諭され、手術を決心した。
 チームはその夏、甲子園に出場した。
プレーで貢献できないもどかしさもあった。ただ、小坂将商監督は言った。「お前の力が必要になる時が来る」。ベンチを掃き清め、裏方に徹した。
 迎えた昨秋の近畿大会。県予選では接戦となった高田商戦で本塁打を放つなど貢献。チームはセンバツ切符をつかんだ。初めて踏む甲子園の舞台。「支えてくれた人たちにプレーで恩返しする」 【山崎一輝】
・山口悠希二塁手

169センチと小柄だが、筋力トレーニングで鍛え上げた体を生かした鋭いバッティングが身上だ。
 小2で野球を始めて以来、目標は現在大学野球でプレーする兄翔さん。
昨秋の明治神宮大会で初戦負けした後、メールが来た。「重心を下にもっていけ」。
兄は試合映像を一目見て弟の姿勢の崩れを見抜き、下半身を安定させるよう助言してくれた。「家族の支えで自分が
ある」との思いは強い。
 昨夏の甲子園では肘を痛め3回戦以降はベンチを温めた。
チームは準々決勝で作新学院に逆転負け。その相手は今センバツに出場する。「再戦して悔しさを晴らしたい」  【山崎一輝】

・北阪真規三塁手

 1年生ながら打率4割1分2厘とチーム1。小坂将商監督は「飛ばす力」も見込むが、心がけるのは単打だ。「必ず還してくれる」と信頼する上級生につなぐことだけ考える。

「尊敬する大先輩」が親類にいる。PL学園で清原、桑田のKKコンビと共に夏の甲子園を制した松山秀明・元オリックスコーチ。正月に会う時は打撃への助言ももらう。

 昨秋の明治神宮大会は好機に送りバントを失敗しチームも敗退。「二度と繰り返さない」と黙々とバント練習を積む。
目標の全国制覇まで、つなぎ続けるつもりだ。   【山崎一輝】
・竹田壱哉遊撃手

「ナイスキャッチー いいぞ!」。ノックの際、誰よりも大きな声を響かせる。
秋季大会では打撃が振るわず、50㍍6,1秒の俊足を生かせなかった。
チームのために何か出来るか考えた。

 父太さんは83年センバツに上官の選手として出場し、本塁打も放った。その話を聞いて育ち、いつしか父の背を追っていた。
「お前もホームラン打てよ」。センバツ出場が決まった後、福岡へ単身赴任中の父から祝いの電話があった。「活躍することが恩返し」。甲子園で成長した姿を見せるつもりだ。 【山崎一輝】


・米田伸太郎左翼手

 中学時代、智辯学園OBの父保信さんと毎朝6時から近くのグラウンドで練習をした。
「気持ちを前に出せ」 「努力なしに結果は出ないぞ」。そ
の言葉を今でも胸に刻み、厳しい練習に臨んでいる。
 
「チャンスはワクワクする」という強気は父譲りか、ここ一番の集中力、勝負強さがアピールポイントだ。
寮には炊飯器を持ち込み、自ら握ったおにぎりをほお張って体力強化を図る。

 父は三塁手として甲子園に番夏3回出場した。77年春には4強進出を果たしている。「甲子園では感謝の気持ちで戦いたい。そして父を越えたい」【山崎一陣】
・浦野純也中堅手

「野性の感で打球がどこに飛ぶかわかる」。
天性の判断力で広い中堅を守る。
もちろん、反復横跳びで鍛えた踏み出しの速さなど、地道な練習が裏打ちしている。
 その強じんな下半身と判断力は攻撃にも生きている。
昨秋の公式戦でチーム最多の5盗塁。打率は4割を超え、バントなど小技も正確だ。
小坂将商監督からもあつい信頼を得る。
 
センバツの目標は、大会通算最多安打の個人記録13を塗り替えること。
過去達成した3人はいずれも決勝に進んだ選手。
 「記録を作ることがチームの優勝につながる」。
志は高く、まっすぐだ。【山崎一輝】

・小野 燿平投手

チーム最多の公式戦4本塁打の長打力と遠投約110Mの強肩を併せ持ち、投手としても青山大紀投手とエース争いを見せる万能選手。

秋季大会5試合に登板し、近畿大会準決勝では強豪の履正社を4安打に抑える投球を見せた。

 昨春は得意のスライダーを封印して直球を特訓。
「試合ではボコボコに打たれた」と振り返るがストレートは切れが増し、変化球がより生きるようになった。
著しい成長に小坂監督は「めきめき力を付けている」と期待を寄せる。
甲子園では「(優勝という)忘れ物を取りに行く」。決意を胸に大舞台に挑む。 【山崎一輝】
・木村祐也投手

中学1年の時に、甲子園でサインを出す小坂将商監督の姿をテレビで見た瞬間「かっこいい、一緒に野球がやりたい」と思い、進学を決めた。
入学後は「強豪校でやっていけるのか」と心配する母を思い、厳しい練習にも耐えて。
 
昨秋の近畿大会決勝。天理との「奈良対決」では先発を任せられ、「緊張で前日は眠れなかった」。しかし、制球力を生かした打たせて取る投球で、強豪打線を七回ま
で無失点に抑える好投。初の近畿大会制覇へ大きな貢献をした。

 甲子園では「攻める投球で活躍する」。夢の舞台で大暴れするつもりだ。【山崎一輝】

・豊田修平投手

 投手陣で唯一の横手投げ。昨夏に習得した決め球のシンカーで左打者を手玉に取る。
 憧れは引退した3年生の西村竜治投手という。つらい練習でも笑顔で取り組み、チームを引っ張る姿を間近で見てきた。
 公式戦初登板となった昨秋の県大会決勝。奈良火付戦で先発を任された。球場で西村投手からも「頑張れよ」と声をかけられたが、1回4失点で降板。「あの時の悔し
さを忘れない」と苦い経験をバネに厳しい練習に取り組んでいる。

 「甲子園で勝利投手になり、成長した姿を見せたい」。
寡黙な投手は内に秘めた闘志を燃やしていた。 【山崎一輝】
・小田原大樹内野手

昨秋の明治神宮大会・鳥取城北戦。大事な初戦で強襲打をそらし、内野安打を許した。チームも敗北。悔しさを胸に、厳しい鍛錬を自らに課してきた。

 守備に必要な体幹筋肉を強くするため起床時と就寝時、計1200回の腹筋運動が日課。自主練習では250球以上のノックをこなす。
プロ野球選手の映像を見てボールさばきやステップワークの研究も怠らない。
「人が見ていないところでどれだけやれるかが勝負。それが甲子園につながる」。

大舞台では鍛え上げた堅い守りで、投手陣をしっかり支えるつもりだ。【山崎一輝】

・上西良輝外野手

 投手だった1年生の夏に肘を手術した後、スランプに陥った。
「やるからにはレギュラーを取る」。マウンドヘの思いを断ち切り、野手への転向を決意した。
 家から学校まで約5キロを毎朝ランニングで登校するなど努力を重ねた。
昨秋の近畿大会準決勝・履正社戦で右翼手として先発出場。適時打を放つなど勝利に貢獣した。 「自分の道を見つけたからには頑張れ」大会後小坂将商監督にかけられた言葉が自身につながっている。

 甲子園での目標は「バツクスクリーンに得特大本塁打を打つ」。
大舞台での活躍に向けて準備は万端だ。
【山崎一輝】
・平ロポール内野手

 小学3年の時に母の故郷フィリピンから福井県に移住した。
「早く自立して家族を助けたい」との思いから、寮生活の智弁学園を選んだ。
 約3時間かけて試合の応援に来る両親に頑張っている姿を見せたいと厳しい練習に日々打ち込んできた。

一方、語学堪能でテスト前には仲間に英語を教える場面も。井元康勝部長は「チームーの秀才」と学業面でも評価する。

 ウエートトレーニングなどで昨夏から体重を約5キロ増やし、打球の強さに磨きをかけた。甲子園では、バックスクリーンに飛び込むアーチをアルプス席の両親に贈ることが夢だ。 【山崎一輝】

・川村大二郎投手

「気持ちが抑えられず、向かっていくことしかできない」。 
奪三振には「ヨッシャー!」の雄たけび。 仲間からは「マウンドで暴れている」の声も出る。
気迫が前面に出た投球が身上だ。
目標とするのはプロ野球・阪神の藤川球児投手。 気合あふれる投球に共感を覚え、切れのある直球で次々と三振をとる姿にあこがれている。
昨秋の近畿大会の後、投球フォームをより上手に改造。 球威が向上し制球力もついた。
「必ず優勝して小坂監督を胴上げする」。
藤川投手の気迫が染みた甲子園のマウンドに立ち、チーム悲願の全国制覇に挑む。  【山崎一樹】
・大崎拓也内野手

「父の分まで活躍したい」と言う。 父昭人さんも元高校球児。 高知商の選手だったが県大会決勝で敗れ、甲子園を目前に涙を飲んだ。

小学校の頃は、所属する野球チームの監督だった父と毎朝6時から練習した。 親元を離れて寮生活を送る今も、下半身強化に向けたタイヤ引きなど早朝練習は怠らない。
こうして鍛えた長打力が持ち味だ。 昨年6月の練習試合で、強豪校の中京大中京を相手に満塁本塁打を放った。 「大きな自信になった」。

親子二代かけて実現した甲子園という夢。 父の思いもバットに乗せ、フルスイングするつもりだ。 【山崎一樹】

・石岡良太郎捕手

エースの青山大紀投手をして「練習に対してまじめで尊敬している」と言わしめる1年生。
毎朝6時から自主練習に打ち込み、補給動作などを黙々と磨いている。
目標は、同じ捕手の中道勝士主将。 チーム全体をまとめ上げる姿に学んでいるという。 練習で失敗が続いた昨秋、キャプテンに「目標をしっかり立てろ」と言われた。失敗を受け止め、原因を考え、次に生かすよう心がけてきた。

「投手をリードし、アウトをつること」。自らの役割を語る言葉は単純明快だ。「練習の虫」はチーム悲願の全国制覇へ今日もミットを鳴らしている。 【山崎一樹】
・丸野綾太投手

 いつも手首を回している。球の切れを付けるストレッチだ。ボールを持だない時は無意識にしてしまう癖になっている。
 毎朝6時に起きてグラウンドを約2キロ黙々と走る。スタミナを付けようと、小学4年から練習後に父と行ってきたランニングは今でも日課だ。

 目下習得を目指すのはエース・青山犬紀投手から教わったチェンジアップ。投球に幅を持たせようと、昨秋の近畿大会終了後から特訓を重ねる。
 とはいえ甲子園は、小学生の時に訪れて以来の 「夢の場所」。やはり勝負球は「全ての観客の印象に残るストレート」と
心に決めている。 【山崎一輝】